こまつ
幼児期の子育てで、子どものしつけや教育に悩む親は本当に多いです。
「イヤ!」「もっとテレビ見る!」「おもちゃ買って!」と子どもの自我は芽生えますし、保育園や幼稚園で集団生活も始まります。
この記事では元保育士の筆者が、子どもの気持ちに寄り添いつつ子どものしつけや教育をしていくために大事にしたいポイントを3つにまとめました。
社会に適用できるような幼児期の子育て方法を知り、子どもにのびのび育って欲しいあなたはぜひ読んでみてくださいね。
子どもの発達に合った援助を心がける
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お箸を正しく持てるようになることや、友達とけんかをせずに仲良く遊ぶこと、我慢をすることなど、「子どもにとって大事だな」「子どもに身につけてほしいな」と思うことはたくさんあります。
しかし子どもはまだまだ発達の途中なので、子どもに身につけてほしいと大人が思っていても、年齢によって体の機能や脳の機能的に難しい場合もあります。
発達上で無理なことを子どもにさせようとすると、保護者にとっても子どもにとっても大きなストレスになります。
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例えばお箸の持ち方ですが、正しく持てるようになる目安は5,6歳です。
大人は当たり前にお箸を正しく使っていても、実は指先だけで2本の棒を操るというのはとても難しく、4歳くらいまでの発達では困難なのです。
2、3歳の子どもに箸を正しく持たせようとすると箸を正しく持つことが難しく、食事の時間が楽しくなくなってしまい、箸への抵抗感が強くなってしまいます。
また、幼児期の子育てでは、ルールの伝え方や友達との関係、子どもの気持ちの受け止め方に悩むことも多いと思います。
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「私がやってあげようか?」するどい観察眼をもつ3歳児
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そして、3歳児は周りの様子を見て「私がやってあげようか?」とお手伝いをして自分も関わろうとしたり、ごっこ遊びで自分が見たことをマネしようとしたりします。
3歳児は、ごっこ遊びでマネしながら社会のルールについても学んでいくのです。
しかし、すべり台の順番を待つなど少しの我慢はできるようになっても、気に入らないことがあればすぐに泣いてしまうなど、感情のコントロールができないこともたくさんあります。
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- やり方やルールを丁寧に教え、教えた内容を守れるよう見守る
- 失敗しても大丈夫だと教える(保護者も一緒にやり直す、もしくは子どもがやり直すのをそばで見守る)
子どもが我慢できるようになるのは、脳の我慢を担当する前頭前野という部分が発達する4歳児くらいからと言われています。
そのため3歳児の子どもはやり方やルールがあることは理解できても、脳の発達的に自分一人でルールを守ることはまだ難しいので、保護者が側にいて一緒にルールを守るようにしてあげます。
そして子どもがルールを守れた時に「できたね」とほめ、子どもの自分がルールを守れるという自信と、ルールを守って楽しかったと感じられる経験が増えるよう援助していきます。
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「◯◯ちゃんが、もう私と遊ばないって言った…」幼児期の思春期、4歳児
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4歳児になると子ども同士の関わり合いが深くなり、集団の中での自分や友達を意識するようになります。
集団の中の自分という視点が増えたことで、4歳児の気持ちは今までよりもぐっと複雑になります。
そのため、自分たちと違う子を集団からのぞこうとしたり、自分の失敗を人に知られることを恥ずかしく思ったりする子が増えてきます。
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- 気持ちが葛藤している時には見守る。子どもが自分自身で落ち着けたら気持ちの整理ができたことをほめる
- たくさん会話し、気持ちを言葉にする力を育てる。同時に、相手にも気持ちがあることを伝える
泣いたり大きな声を出したりしている時、子どもは自分の理想と思い通りできなかった現実で葛藤しています。
子どもに落ち着いてほしいと思い、泣く子どもについ声をかけたくなってしまいますが、「泣き止んだらお話聞かせてね」とだけ声をかけ、保護者はぐっと我慢して待ちましょう。
子どもが泣いたり大きな声を出したり葛藤している時に大人が話しかけずに待つことで、子どもは自分自身で心を落ち着ける練習をし、感情をコントロールできるようになるのです。
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4歳児は今までよりも複雑な気持ちを感じるようになり、気持ちをうまく表現できずにもやもやとした苦しみを感じていることがあります。
複雑な気持ちを言葉にして表現し大人に気持ちを受け止めてもらえることで、気持ちがだんだんと落ち着き、自分自身で心を落ち着けるのに必要な時間も短くできるのです。
また、自分の気持ちを言葉で表現できるようになってきた4歳児は、友達の気持ちを理解できるようになってきます。
例えば、雨が降っていて外遊びできなくてごねている子どもに対し、「お友だちも遊べなくて悲しんでいるみたいだよ」というと、友達も悲しんでいることを理解できます。
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「じゃあどうしようか?」一緒に考える5歳児
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4歳児までは、子ども数人とテーマを絞って話そうとしても話の方向性がバラバラになり、話し合うことが難しいケースは多いです。
ただ、5歳児になって目的意識が生まれることで、「じゃあどうしようか?」「どうしたらいいのかな?」と話し合えるようになります。
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- ルールを守ることの大切さを伝える
- 物事の過程の「頑張っていること」「工夫していること」をほめる
4歳児までは「ルールはルールだから守らなければいけない」と考えルールを守っていましたが、5歳児になってくるとより具体的に考えられるようになります。
例えば、次のようにルールを守らなければいけない理由を理解するでしょう。
「ドッヂボールは人数が一緒じゃないと少ない方が負けちゃうから人数は一緒でなければいけない」
「ご飯の時に走ると机や友達にぶつかって食事がこぼれちゃうからはしてはいけない」
また、子どもが今あるルールに疑問を唱えた時には子どもと一緒に考えたり、ルールを変えてみたりすることも子どもの考える力、ルールを守ろうとする気持ちを育むことにつながります。
子どもに目的意識ができてくると、子どもは目的を達成できたかどうかを大事にするようになり、大人もつい目的を重視してしまうようになります。
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ぜひ保護者のあなたは、子どもが頑張っていること、色々考えて工夫していることに目を向けてあげてください。
そして、「鉄棒今日は10回もやったんだ!頑張ったね」「この積み木、この前はバラバラだったのに今日はキレイに積んでるね。こっちの方が崩れにくいんだね」と子どもの頑張りや工夫を言葉にしてほめてあげてください。
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幼児期の教育は「知識」より「経験」を増やす
幼児期の教育は「知識」より「経験」を増やすことが大切です。
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勉強ができるようになってほしいからこそ「たくさん遊ぶ」
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文字の書き取りや数字の計算を幼児期からさせる『早期教育』も流行ってはいます。
しかし、多くの子どもが勉強で難しく感じるのは文字の書き取りや数字の計算など単純な作業ではなく、文章からその場を想像したり、分数や関数など抽象的な概念を使ったりする、想像力や思考力が必要な問題です。
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例えば、想像力が育つ遊びといえば、絵本を思い浮かべる方がいらっしゃるでしょう。
絵本を読み、その場面を想像し、絵にかいたりごっこ遊びをしたりすることは、とても想像力が育つ遊び方です。
絵本に興味がなくても、テレビや動画だって遊びにつなげれば立派な想像力が育つ遊びになります。
ヒーローが好きな子どもとなら、ヒーローごっこをしながらどんな設定で遊ぶかを一緒に考えてみたり、保護者が考えた設定を伝えて子どもに想像してもらったりするのも良いでしょう。
ユーチューバーごっこなら、ユーチューバーの真似をするのにどんなものがいるのか一緒に考え準備してみることから始め、子どもオリジナルの動画を作る遊び方もあります。
本当にYouTubeに動画を投稿しなくても、スマホで撮影し、撮ったものを見たり友達に見てもらったりするだけでもとても楽しいですよ。
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- 雨が降っていないのに朝植物がぬれている時
- ジョウロで水をかけると方向によって虹ができたりできなかったりする時
- 暑くて汗をかく時
- 前を向いて蹴ったボールがまっすぐ飛ばない時
外遊びは不思議であふれています。
子どもが「どうしてこうなるんだろう?」「これはなんだろう?」と不思議を発見した時には、保護者も子どもと一緒に考えたり調べたりしてあげてください。
こまつ
子どもが大きくなり、幼児期に不思議だと思っていた現象の原理を学校の授業で学んだ時に「あのことか!」と理解し納得するための大事な経験になります。
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社会のルールを学んでほしいなら「ごっこあそび」
「お店では静かにする」「目上の人には丁寧な言葉を使う」など、子どもに覚えてほしい社会のルールがありますよね。
社会のルールを子どもに教える時に、ついつい周りの目を気にして厳しい口調になってしまうことはありませんか?
こまつ
ごっこ遊びの「普段の自分の気持ちから切り替えて何かになりきること」「自分の役のルールの中で遊ぶこと」が社会のルールを守る練習になるのです。
例えばお店屋さんごっこをすると、「いらっしゃいませ」「すみませーん、ミカンください」「はーい、ちょっとおまちください」と途端に子どもは丁寧語でしゃべり始めます。
保護者が店員で子どもが買い物客のシーンであれば、「この線に沿ってお並びください」と声をかけるときっと並んで待ってくれます。
おままごとをすれば、「今お片付けするからね」と普段片付けを全くしない子が母親役になって片づけをしてくれることもあります。
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子どもの思いを大人が受け止め、共感する
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子どもは大人に共感してもらうことで、共感されることの安心感や喜びを知ります。
共感してもらうことの心地よさを知った子どもは、友達や保護者など身近な人に自分も共感するようになるのです。
ただ目を合わせるのではなく、子どもの目が向いている方向にあわせるのがポイントです。
こまつ
子どもがこちらを見ていれば自分も子どもを見つめ、子どもが違うものを見ていれば自分も同じものを見ながら子どもの気持ちを言葉にしてあげ、共感します。
子どもが他のところを見ていたのにこちらと目を合わせてくれたり、泣いていたのが落ち着いたりすれば、大人が子どもの気持ちに共感したことを子どもが理解した合図です。
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むしろ幼児期の子どもには「あなたの気持ちはわかったよ。でも太郎君も今日は他の子と遊びたかったんだって」と保護者や他の人の気持ちを伝え、自分とは違う気持ちがあることを伝えるのも大事です。
その後「今日は私と遊ぼうか」と代替案を出したり、「明日は遊べるといいね」と次の機会についての話をして子どもの気持ちを切り替えてあげると良いでしょう。
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幼児期の子育てでよくあるお悩みQ&A
Q1:子どもが我慢できないときにはどうしたらいい?
4歳頃からは落ち着くまでまで待つようにします。
こまつ
人は我慢するとき脳の前頭前野という部分の働きによって我慢しています。
前頭前野が発達してくるのは4歳ごろなので、3歳まではそもそも我慢はできないと考え、お菓子は見えるところに置かない、使いたいおもちゃが使えない時には他のおもちゃで遊ぶよう声をかけるようにします。
こまつ
我慢が必要な理由を言葉で伝えた後は、泣いたり怒ったりしている間は特に声をかけず、落ち着けたら「泣き止めたね」とほめましょう。
少しでも我慢できたら、「我慢できたね」と我慢できたことを褒めてあげてください。
また、生活の中では3歳児の頃同様、なるべく我慢する原因は減らし、ゲームの中で順番を待ったり、役割に沿った行動をしたりとルールを守る経験をすると良いでしょう。
Q2:他の子どもと比べて、自分の子どもが発達が遅い、できないことが多いと感じてしまうときは?
こまつ
できないことがあっても子ども自身が困っていないなら、子どもの個性と考え様子を見守って良いと思います。
もし子どもが困っていたら、保育士や幼稚園教諭、自治体の発達支援センターなどに相談し、専門家に見てもらうことが1番保護者の方も安心できると思います。
発達支援センターや療育と聞くと、自分の子どもが発達障害のレッテルを貼られてしまうかもしれないと大きな不安と恐怖を抱く方も多いでしょう。
もしくは発達障害でなければ相談すべきではないと思っているかもしれません。
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Q3:どんな習い事をさせたらいい?
無理に習い事をさせる必要はありません。
もし子どもが興味をもったものがあればその習い事をしていくのが良いでしょう。
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Q4:小学校に入るまでに身につけておきたいことは?
生活面では「着替え、トイレの始末など身の回りのことができること」「困ったときに助けてと言えること」ですね。
こまつ
算数も国語も小学校に入ってから丁寧に授業を行ってくれます。
学習面では自分の名前の読み書きはできるようにしておくと良いでしょう。
こまつ
小学校では今までの保育園や幼稚園と違い、一クラスの子どもの人数が多くなります。
体操着に着替えたり、休み時間中にトイレに行ったりと、身の回りのことが決められた時間内にできるようになっておく必要があります。
こまつ
幼児期の子育てで大事なことは、子どもらしく過ごすこと
この記事では元保育士の筆者が、子どもの気持ちに寄り添いつつ子どものしつけや教育をしていくために大事にしたいポイントを3つ解説しました。
最期に今回の内容をまとめておきます。
- 子どもの発達に合った援助の仕方を心掛ける
- 幼児期の教育は「知識」より「経験」を増やす
- 子どもの思いを大人が受け止め、共感する
たくさん遊んで、たくさん大人に甘えながら年齢に合った色々なことに挑戦してみる。
幼児期の子育てで大事にしたいことは、子どもらしく過ごすことだと言えます。
心身の成長を促すのももちろんですが、子供が将来大人になって子どもの頃を思い出したとき、「楽しかった」「幸せだった」と思えることも大事なことです。
時にはあまり考えすぎず、ただただ子どもと楽しく過ごしてみると良いかもしれませんね。
こまつ
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