海外の育児ってどんなことをしているんだろう?
日本の育児とどんな違いがあるのかな?
あなたはこのような疑問を抱えていませんか?
たしかに、日本と海外の育児の違いは気になりますよね。
そこでこの記事では、現在ヨーロッパ圏で保育士として働いている筆者が、海外ではどんな育児が行われているのか、日本の育児とはどんな違いがあるのかを説明します。
あわせて、筆者が海外のママさんに聞いた育児に対する考え方も説明します。
この記事を読めば海外でどんな育児が行われているのかがわかり、海外での育児について理解を深められます。
「海外ではどんな育児が行われているんだろう」と気になるあなたはぜひ、読んでみてくださいね。
海外で行われている育児と子育て環境
まず初めに、海外(ヨーロッパ圏)で行われている育児と子育て環境を紹介します。
- 子どもは自然の中で遊ぶ
- 時間がゆっくり流れる
- Play Dateって何するの?
子供は自然の中で遊ぶ
海外(ヨーロッパ圏)の育児では、自然の中での外遊びが積極的に行われています。
自然の中での外遊びがさかんな理由の1つは、自然の中の外遊びは日光浴ができるからです。
日光浴は体内でビタミンDを作り、骨を丈夫にします。
また、日光浴は精神と気分を安定させる作用があります。
新生児や幼い子供は日光浴をすることで、「低カルシウム血症」などの病気も防ぎます。
特に北欧では冬場の日照時間が少ないので、保育園・幼稚園では子供たちが1日中外遊びで日光浴をしています。
このように、海外の育児では外遊びでの日光浴が重要視され、日常的に行われます。
自然の中での外遊びがさかんな理由の2つ目は、自然の中での外遊びは子供のチャレンジ精神を養うからです。
自然の中は、いつも見るもの、触れるものが新しく新鮮です。
自然の中で子供は新しい昆虫・植物・動物などを見つけて、観察したり触れてみたりとチャレンジします。
自分の体で新しいものに触れながら学び挑戦できることは、子供にとって大きな自信になります。
また、子供が五感を使いながら自然の中で遊ぶことは、脳の発達にも良いとされています。
目で見る色とりどりの花や葉っぱ、耳で聞く鳥の鳴き声、鼻でかぐ芝生や土のにおい、手でふれる落ち葉や草の手触り、口で植物(ミント・たんぽぽ・オオバコなど)を食べてみることで味覚を刺激します。
このように、海外の育児では自然の中での遊びを多く取り入れ、子供のチャレンジ精神を養い、子供の脳の発達を促します。
時間がゆっくり流れる
海外(ヨーロッパ圏)の育児では時間がゆっくり流れます。
海外の育児ではスケジュール、または時間を気にする習慣があまりないので、時間が経過するのがゆっくりに感じられるんです。
例えば、ヨーロッパ圏では家の中に壁掛け時計がない空間を作ることがあります。
時間を気にしないことで気持ちに余裕ができ、リラックスして育児ができるのです。
ただし、予定がある日は、しっかりスケジュール・時間を守ります。
例えば、ママ友と会うとき・Play Date(プレイデート)・予約の指定がある場合などです。
スケジュールと時間にメリハリをつけることで育児を楽しくでき、子供の成長や変化もじっくりと見守れます。
このように、海外の育児ではスケジュールまたは時間を気にしないことが多く、焦らずに過ごすので時間の流れがゆっくりに感じます。
Play Dateって何するの?
Play Date(プレイデート)は子供たちが友だちと楽しく遊びデートをすることです。
プレイデートが海外(ヨーロッパ圏)の育児で好まれる理由は、子供たちの社会性とコミュニケーション能力を高められるからです。
ママたちがあらかじめ日時を決めて、自宅・公園・ピクニック・動物園などで我が子を他の子供たちと一緒に遊べるようにします。
子供たちが友だちと話したり共に行動することで、どのように他の子供と接するか、どのように行動をするかを学び、社会性とコミュニケーション能力を身につけます。
プレイデートを始める時期はママによって違いますが、子供が保育園・幼稚園に入る前の2~3歳くらいからが一般的です。
赤ちゃんや小さい子供は言葉での会話ができなくても、お互いの仕草や表情でコミュニケーションをするので楽しく一緒に遊べます。
幼いころの楽しい、ポジティブな人間関係は、将来的に新しい人間関係を築くときに良い影響を与えます。
プレイデートはママにとってもママ友を増やせるチャンスなので、プレイデートは海外の育児で人気があります。
次に、海外と日本の育児の違いを説明します。
海外と日本の育児の違いは?
次に、海外(ヨーロッパ圏)と日本の育児の違いを説明していきます。
- ベビーシッターをフル活用
- 産後の翌日退院?! 日本と比べて短い産前産後の入院期間
- フレンドリーなのは人だけではない
違い①:ベビーシッターをフル活用
海外(ヨーロッパ圏)は日本に比べて、ベビーシッターを積極的に活用して育児をします。
ベビーシッターをフル活用する大きな理由は、海外では女性の産後・育児後の復職が非常に多く、ベビーシッターを活用する回数が必然的に多くなるからです。
例えば、海外の企業では女性が社長や上部の管理職にいることは一般的です。
夫婦共働き、男女平等が当たり前という文化背景から、「女性だから結婚をしたら仕事を辞める」「女性が育児のために退職する」という考え方はしません。
「3.海外の育児に関する制度は?」で紹介しますが、海外では育児休暇が長期間とれること、育児休暇の取得率が高いことから、女性が産後・育児後に復職しやすいです。
また、近年はシングルマザーも増えているので、経済的な理由で復職する女性もいます。
さらに、海外は女性のキャリア意識が高く、キャリアを無駄にしたくないという思いを持っている人が多いです。
このように、育児に関する制度が充実していること・キャリアを無駄にしたくないこと・経済的に働く必要があることの3つが、ベビーシッターをフル活用する背景にあります。
違い②:産後の翌日退院?! 日本と比べて短い産前産後の入院期間
海外(ヨーロッパ圏)と日本の育児事情でよく話題になるのは、産前産後の入院期間の違いです。
海外では出産・産後の経過が母子ともに良好な場合は、入院期間は産後6時間~24時間ですが、日本では出産・産後の経過が母子ともに良好な場合でも入院期間は産後3日以上となっています。
また、海外では国立病院の場合、出産・入院費用は基本的に無料です。
筆者は海外でベビーシッターをしていた時、実際に出産を控えたママさんの上のお子さんをお世話したことがあります。
出産を控えたママさんは出産当日に病院へ行き、出産の翌日には帰宅していました。
海外では助産師が定期的に自宅訪問をして、産後の母子の健康状態をチェックするので安心です。
自宅にて産後のママは2~3日くらいは安静にしますが、家事や育児などをするので、体が完全に回復するまで休むことは難しいです。
一方、日本では順調な出産であっても4日~6日間の入院期間が一般的です。
日本では産後の入院中、体をしっかり回復させ、病院食によりバランスの取れた食事ができます。
また、日本では産褥期(産後6週~8週)は体の回復のため、安静にすることを前提としています。
このように、産前産後の入院期間の違いは海外と日本の育児事情の話題によく取り上げられます。
違い③:フレンドリーなのは人だけではない
海外(ヨーロッパ圏)と日本の育児の違いは、海外では基本的に公共の場所・交通機関などで人々が子連れ・子供に対して親切に接してくれます。
人々だけではなく、犬も子供に対してフレンドリーです。
例えば、海外では公共の場所・公園で散歩中の犬が、赤ちゃんや子供と一緒に遊ぶことがあります。
「ドイツの犬はなぜ吠えない?」(著者:福田直子)でも紹介されているように、海外ではリードを外して犬を散歩することが多いです。
しつけがされていて他人に慣れている犬は、赤ちゃんや子供に吠えることはありません。
最初、子供は近づいてくる犬の様子を見ていますが、犬がフレンドリーに接っしてくる様子を見て徐々に触れてみたり、遊び始めたりします。
子供が犬(動物)と触れ合うことで、動物に対しての思いやり・慈しむ心を育みます。
また、海外では周囲の人々と犬(動物)がフレンドリーなことで、のびのびと育児ができます。
一方、日本では、公共の場所・公園で散歩中の犬が赤ちゃんや子供と一緒に遊ぶことは、めったにありません。
日本では、犬を散歩するときは必ずリードをつけるので、公共の場所・公園で散歩中の犬が子供に触れたり、一緒に遊んだりする場面は少ないからです。
このように海外では、周囲の人々や犬(動物)が、子連れ・子供に対して親切でフレンドリーだと言えます。
次に、海外の育児制度・育児休暇について解説します。
海外の育児制度はどうなっている?
海外(ヨーロッパ圏)の育児制度・育児休暇を簡単に紹介します。
海外では年ごとに育児の制度、育児休暇の日数が変わることがあります。
以下の表はBBC NEWS (2020年2月5日)の記事を参考にしています。
スウェーデン | フィンランド | デンマーク | ポルトガル | |
育児休暇
(期間・日数) |
ママ育休:240日
パパ育休:240日 |
ママ育休:164日
パパ育休:164日 |
ママ育休:
産前4週間 産後14週間 パパ育休: 産後2週間 32週間夫婦でシェア |
ママ育休:120日
パパ育休:120日 オプション 夫婦共にプラス30日 |
育児休業中の手当 | 給料の80%~100%の給付金 | 給料分の給付金 | 給料の100%の給付金 | 給料100%の給付金
オプション 給料の80%の給付金 |
ヨーロッパ圏の中でも、スウェーデンは育児や福祉に関する制度が充実しています。
また、「パパ・ママクオータ」という育児休暇制度があり、パパ・ママの約80%が育児休暇を取得します。
フィンランドは、2020年に新しく両親休暇(家族休暇)をパパ・ママそれぞれ164日取得できるようにしました。
ただし、育児休業中の手当が給料の何%の給付金なのかは明らかにしていません。
デンマークの両親休暇は合計で52週間です。
両親休暇のママ育児は産前4週間・産後14週間・パパ育休は産後2週間で、その後32週間はパパとママで日数を分けて取得できます。
ポルトガルの両親休暇は、パパ・ママそれぞれ120日取得が可能です。
育児休業中の手当は給料の100%貰え、オプションで休みを30日追加する場合は、育児休業中の手当は給料の80%になります。
最後に、現役保育士・元ベビーシッターが聞いた海外のママさんたちの育児に対する考え方を紹介します。
現役保育士・元ベビーシッターが聞いた海外のママさんたちの育児に対する考え方
海外のママさんたちは未来を想像することで、育児をポジティブに考えます。
未来の楽しい計画やイベントを想像したり考えたりすることで、大変な育児・仕事の両立ができるのです。
例えば、将来子供が独り立ちしたときに自分の時間をどう使いたいか、仕事を引退してからの旅行プランや夫婦生活を想像します。
そして、未来にチャレンジしてみたい趣味や習い事を、育児や仕事と両立しながらできる範囲でコツコツ始めることもあります。
ただし、何十年も先の未来だけを楽しみにして生活するのはしんどいので、定期的に楽しめるイベントも計画して実行します。
例えば、週末に家族でピクニックやドライブに行ったり、平日の仕事後にママ友とお茶をしたりします。
このように海外のママさんたちは、未来大きな楽しみ、定期的な小さな楽しみを想像して計画し、育児をポジティブに考えます。
まとめ:海外のママたちは育児をのびのび楽しんでいます
この記事では、ヨーロッパ圏で保育士として働いている筆者が、海外の育児・海外と日本の育児の違い・海外の育児に関する制度を紹介しました。
そして、筆者が聞いた海外のママさんたちの育児に対する考え方も説明しました。
最後に今回の記事をまとめておきます。
- 海外での育児は、子供は自然の中で遊ぶ、時間がゆっくり流れる、Play Dateをする
- 海外と日本の育児の違いは、海外はベビーシッターをフル活用、産前産後の入院期間が短い、人も犬もフレンドリー
- 海外の育児に関する制度は、スウェーデン、フィンランド、デンマーク、ポルトガルの育児休暇を紹介
- 筆者が聞いた海外のママさんたちの育児に対する考え方は「未来を想像して育児をポジティブに考える」
海外でどんな育児が行われているか、おわかりいただけましたでしょうか。
ベビーシッターすみれの森には他にも、子育ての悩みやベビーシッターに関するお役立ち情報がたくさんあります。
ぜひ読んでみてくださいね。