「育児師」という資格をご存知でしょうか?
「育児師」と聞いても、「何それ?」という人も多いと思います。
育児師は、2019年に新しくできた資格です。
まだまだ一般的には知られていませんが、実際はどのような資格なのでしょうか?
今回は現役保育士の筆者が、「育児師」の仕事内容や資格の取り方についてご紹介します。
この記事を読めば育児師がどんな資格かがわかり、育児師について理解を深められます。
育児師について知りたいあなたはぜひ、読んでみてください。
育児師って何?
育児師とは、簡単に説明すると「ベビーシッターのプロ」を証明する資格です。
ベビーシッターのマッチングサービスを提供している「株式会社キッズライン」が、2019年に新しく開設・認定している「民間の資格」です。
育児師資格に関する講座も、キッズラインが開講しています。
育児師には、「育児師」と「準育児師」の2種類があり、「個別保育」と「育児」のプロフェッショナルを育成するために作られました。
「育児師」が作られた背景には、ホリエモンこと「堀江貴文さん」が関係しています。
2019年7月18日と27日に公開された「ホリエモンチャンネル(YouTube)」の動画で、キッズラインのマーケティング担当の「やまざきさん」と対話をしています。
話の中で、「ベビーシッターに関する資格を作ったほうがいいのではないか」という話から「育児師」という言葉が生まれました。
育児師の仕事内容とは?
育児師の仕事内容はまだ明確化されていませんが、キッズラインが認定している資格のため、主な仕事は「ベビーシッター」になります。
ベビーシッターの仕事は、単純に保護者に変わって子どもの育児をすることだけではありません。
子どもの生活全般のお世話をしながら、保護者をサポートすることも求められます。
保護者が抱える子育ての悩みや問題に寄り添い、適切なアプローチをしていかなければいけません。
育児師は数多くいるベビーシッターの中でも、「保育」と「育児」のプロフェッショナルとして働くことが求められます。
育児師の種類は?
育児師には、「育児師」と「準育児師」の2種類があります。
キッズラインのHPには、2つの資格について次のように説明されています。
育児師
保育と育児のプロフェッショナルとして、日本の育児を根底から総合的に支援できる人材を目指す。お子様を安心安全にケアし、現代の子育て世代の抱える問題や悩みに適切にアプローチすることで、一人ひとりのお子様の健全な成長に寄与する。
準育児師
子どもと育児に関する基本的な知識とスキルを身につける。子どもの月齢・年齢別の発達、生活、遊びについての基礎知識に加え、安全管理、個別保育サービスのプロフェッショナルとして必要な接遇スキルについても幅広く学ぶ。
「準育児師」も個別保育のプロフェッショナルと言えますが、「育児師」は、より専門的な知識や技術を身につけた上で、個別保育や子育て支援をすることが求められています。
また、「育児師」は個別保育のプロフェッショナルであることはもちろん、「ベビーシッターのプロフェッショナルを育成すること」も今後求められてきます。
育児師と保育士の違いは?
育児師と保育士の大きな違いは、「保育の仕方」です。
保育士は、集団の中で子どもの心身の発達を促し、社会性・基本的な生活習慣を育てていきます。
一方、育児師は個別の関わりの中で子どもの成長を促していきます。
保育の仕方に違いはありますが、「子どもを保育する」という観点から見ると、育児師と保育士の仕事内容に大きな差はありません。
子どもの発達、保育に必要なスキル、子どもを見る力などを学び、身につけていくことが求められます。
育児師のメリット
育児師の資格を取得することで、大きく分けて2つのメリットがあります。
1つは、現在求められている「個別保育の知識とスキルを学び、身につけられること」です。
これまで多くのベビーシッターが、経験や独学で個別保育のスキルを学んできました。
「育児師」の講座を受けることで基礎的な知識はもちろん、ベビーシッターに必要な幅広い知識を学び、より専門性の高い個別保育の提供に繋げることが可能です。
2つ目は、「ベビーシッターとしての信頼度が可視化されること」です。
これまで、ベビーシッター(個別保育)に関する資格はなかったため、各シッターの違いは、ほとんどありませんでした。
しかし、「育児師」という資格があることで、知識・技術・信頼などが可視化され、保護者にベビーシッターをより安心して利用してもらえることに繋がります。
保護者の安心感が高まることに伴いシッターのマッチング率が上がり、収入アップも期待できます。
キッズラインの中でも、「育児師」の資格を取得した人には、正当な評価と仕事が得られるような仕組みづくりをしていくようです。
2019年に新しくできた資格なので、今後「育児師」になるメリットはさらに増えていくことが予想されます。
育児師になるにはどうすればいいの?
育児師になるためには、キッズラインが開講している「育児師」のオンライン講座を受講し、テストに合格しなければいけません。
育児師になるための大まかな手順を以下にまとめました。
- キッズラインに登録する
- シッターの無料説明会に申し込む
- 無料説明会に参加する
- 面接を受ける
- テスト・トレーニングを受けてベビーシッターになる
- 育児師(準育児師)の講座受講の申し込みをする
「育児師」は、キッズラインでのサポート10回以上の方が対象となるので、キッズラインのシッター登録は必須になります。
ただし、現在(2020年6月)は、「育児師」の資格取得講座の申し込みは、終了となっており、再開の時期も未定になっています。
育児師の取得の仕方
育児師になるためには、「準育児師の資格取得者」かつ「キッズラインでのサポート10回以上の方」の2つの条件を満たしていなければいけません。
条件を満たしている方は、「育児師」のオンライン講座を受講できます。
講座は全4つあり、内容は以下にまとめました。
- 育児師の役割と現代の子育ての実際
- 保育と育児の基礎知識
- 子どもの保健と安全管理
- 育児師の接遇マナー
講座受講後、オンラインでの確認テストがあります。
資格取得のためには、確認テストに合格しなければいけません。
また、「実技テスト」と「面接」もあり、実技テストでは、「保育スキル」や「接遇」に関するテストが行われます。
準育児師の取得の仕方
準育児師の講座は大きく分けて「オンライン講座」と「救命救急講座」の2つです。
準育児師になるためには、「キッズラインのサポート回数」などの条件はありません。
全ての講座を受講したうえで、オンライン確認テストを受け、合格した者のみが準育児師に認定されます。
準育児師は、実技テストはなくオンライン上で学べますが、救命救急講座は、実地で行う必要があります。
育児師協会ってあるの?
「育児師」と聞くと「育児師協会」が存在するように思えますが、現在「育児師協会」は存在しません。
あくまでも、ベビーシッターのマッチングサービスを行っている「株式会社キッズライン」が、「育児師」「準育児師」の講座を開講、資格の認定を行っています。
育児師の今後の展望
育児師は、新設された資格ですが、今後その需要は高まっていくと予想されます。
日本のベビーシッターの現状は、特定の資格が必要なく、誰でもベビーシッターとして働けます。
必要な資格がなく誰でも働ける現状のため、ベビーシッターに不安を感じる保護者も多いです。
しかし、「育児師」という資格があることで、ベビーシッターの信頼が上がり、今までベビーシッターを利用していなかった方の利用も増える可能性があります。
ベビーシッターの需要が高まっている
ベビーシッターの利用に不安を感じている人がいる一方で、ベビーシッターの需要は高まっています。
キッズラインのベビーシッターの利用依頼者数は増加しており、現在利用していない方の中にも「今後利用したい」と考えている方が多くなってきました。
ベビーシッターの需要が高まってきたことで、専門的な知識や技術を持ったベビーシッターの需要も高まってきます。
個別保育のプロとして
育児師は、個別保育のプロとして質の高い保育を提供することはもちろんですが、ベビーシッターを育成する立場での活躍も期待されています。
安心して子どもを預けられるベビーシッターを1人でも多く輩出することで、子育てをしている保護者のベビーシッター利用率も上がっていくはずです。
また、「育児師」という資格があることは、世の中に「ベビーシッターのプロがいる」「ベビーシッターは安心して利用できる」ことを認知してもらうきっかけになります。
「育児師」の存在が、これからのベビーシッター業界を大きく変えていく可能性があるかもしれません。
海外ではすでに個別保育のプロがいる
海外では、すでにベビーシッター(個別保育)のプロを証明する資格が存在しています。
アメリカでは「ナニー」といわれる、専門トレーニングを受けたベビーシッターのプロがいます。
ナニーはフルタイムの仕事で、育児面だけでなく子どもの送迎や料理、家事など幅広い仕事をしています。
中には年収2000万円を超える「ナニー」もいるようです。
「育児師」という資格が日本でも広がることで、年収2000万円のベビーシッターが出てくるかもしれません。
育児師のまとめ
今回は現役保育士の筆者が、育児師の仕事内容や資格取得の方法などについてご紹介しました。
簡単におさらいするために、「育児師の特徴」を以下にまとめました。
- 保育と育児のプロフェッショナル
- キッズラインが設立した民間の資格
- 育児師と準育児師の2種類がある
新設されたばかりの資格ですが、育児師の需要は今後高まっていくと考えられます。
育児師は個別保育をもっと学びたい、ベビーシッターを日本に広めたいと思っているあなたにおすすめの資格です。
育児師が気になるあなたは、資格取得を考えてみてはいかがでしょうか。
まずは、キッズラインのHPを見てみることをおすすめします。
この記事が、「育児師」に興味のあるあなたの参考になれば幸いです。
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ぜひ読んでみてくださいね。